O2センサーとは?

自動車には、ガソリンエンジンから出る排気ガス中の有害物質を低減させるために、O2センサーなど様々な部品が使われています。ここでは、O2センサーの役割や仕組み・構造、修理方法などを紹介します。

仕組みと役割

排気ガスをクリーンにするには、エンジンの空燃比(空気とガソリンの割合)を適正にコントロールす必要があります。O2センサーは空燃比の状態を判断するためのセンサーです。

O2センサーの出力特性は、燃料が濃いと約1Vの電圧を、薄いとほぼ0Vに近い電圧を出力するようになっています。この特性を生かして空燃比の状態を常に監視して、ECUに情報を送っています。ECUは送られてきた情報から燃料の噴射量を変化させ適正な空燃比にコントロールしています。(これをフィードバック制御と言います)

寿命

新車から5年または8年で交換が推奨です。

故障の原因は?

O2センサーは、水や衝撃に弱いセンサーです。故障の原因として

  • エンジンオイル、カーボンなどの不純物のセンサー本体付着による出力電圧異常
  • 外力や振動によりセンサー本体のシール不良による水侵入
  • 熱衝撃により素子割れで断線

テスターを使ったチェック方法

O2センサーからの配線は、メーカーにより異なりますが、4本出ているタイプで説明すると、2本はヒーター回路です。O2センサーは一定の温度にならないと作動しないため電熱ヒーターを設けており、冷機時でもすぐに作動するようにヒーターで温度を上げています。サーキットテスターをあて3Ω~15Ωの範囲にあればヒーター回路と判断できます。

さて肝心のO2センサー本体ですが、残念なことにサーキットテスターでは測定できません。良品も異常品も抵抗値は∞Ωを示します。出力電圧は1Vですが、これもデジタルオシロスコープなどの特殊なテスターでなければ、正確な電圧の変化は見ることができません。

ディーラーなどが使っている外部診断機を使うと、ECUに入るO2センサーからの電圧波形をリアルタイムに見ることができ正確な良否判定が行えます。

センサー不良の症状は?

O2センサーに異常があった場合、メーターパネル内の警告灯が点灯する場合が多いですが、症状としては排気ガス中の有害物質の増加や、アイドリングの不調、加速不良などが挙げられます。

ノッキングや燃費に影響は?

燃料が極端に薄くなったり、濃くなったりするとノッキングが出やすくなります。また燃料を必要以上に多く噴射すると燃費も悪くなります。

放置していても大丈夫?

燃料が必要以上に濃いまま乗り続けると、触媒に負担がかかり高熱になり過ぎて内部が破損する場合もあります。

修理や交換、清掃で対応しよう

O2センサーの不具合を解消すると、燃費が改善されアイドリングも安定し、安全な走行ができます。

点検方法は

点検方法は、前述のとおりサーキットテスターで行う方法もありますが、外部診断機を使うのが断然、正確で速いです。

場所はどこについてるの?外し方は?

付いている場所は、車両の床下の排気管の触媒の前後部分か、ボンネットを開けて見える場所についている車種もあります。O2センサーはボルト、ナットで取り付けられているので、サイズの合ったメガネレンチ、ソケットレンチがあれば交換可能です。センサーの配線カプラーを外すのも忘れずに。

専用のソケットレンチを使うとラク

O2センサーには、配線とカプラーが繋がっています。専用のソケットレンチには、それを回避するための切り込みが設けてあります。これを使うと取り外し、取り付け時に配線に負担をかけずにO2センサーを回すことができます。専用のソケットレンチを使わずに交換を行うと、配線の部分に負担がかかってしまい、断線やゴムブーツ損傷によるセンサー内の水の浸入などが起こる場合があります。

固着して外れないときは

O2センサーが付けられている場所は、排気管に直接で、そこにネジ山が切ってあるので、走行距離が長いほど固着して外れません。そんな時は無理せずCRCなどの潤滑剤を吹き付けて、できれば一晩くらいの長時間放置するのが良いでしょう。

交換費用はどれくらい?

  • 一般的なディーラー・修理工場

部品代:2万円前後

工賃:8000円前後

オートバックスでの交換費用もディーラーとほぼ同額ですが、安い部品ではないので、それぞれの店舗で見積もり額を比較することがベターでしょう。

社外品で安く浮かせる手も

O2センサーの社外品ですと5000円前後で販売されています。純正品の半分以下なので、こちらを選択する方法もあります。

清掃するなら

真鍮ブラシやパーツクリーナー、あるいはエンジンコンディショナー(燃焼室に溜まった汚れを除去する洗浄剤)を使って、O2センサーの先端部分にこびりついたカーボン等を落とすこともできます。

しかしO2センサーは、前述のとおり衝撃や水分に弱い特性を持っています。コードの付け根部分からの水侵入によるセンサー部分の破損、あるいは熱衝撃による素子割れしている場合は、表面上を綺麗にしてもあまり意味のないことです。

清掃後、車の調子が良くなったとしても、再度トラブルが起きて交換となると、2度手間になりますので、交換してしまったほうが賢明でしょう。

リセットは必要?

O2センサーを交換しただけでは、エンジンのチェックランプは点灯したままなので、ECUをリセットして消灯させる必要があります。点灯したまま走行も可能ですが、ECUのプログラムは、走行に必要な最低限のモードになってしまうので、車がもつ本来の性能にはなりません。

バッテリーのマイナス端子を10分程度外し、再度接続するとリセットは可能ですが、時計やラジオ等のメモリーが消えてしまう場合もありますので気をつけましょう。

最近の車は、どんどんとシステムが複雑になってきていて、バッテリー端子を外しただけでは消えない場合や、ECU内部に異常な学習値が残ったままになってしまうケースがあるので、外部診断機等を使って、リセットする方法が一番確実です。

車検には通るの?

平成29年2月から車検の検査基準が厳しくなり「警告灯(メーター内のインジケーターランプ)が点灯または点滅している自動車は、車検の審査を行わない」と発表されています。対象となる警告灯は、前方エアバック、側方エアバック、ABS、エンジンの5種類です。

O2センサー不具合の場合もエンジンの警告灯が点灯しますので、車検の審査を受けることはできません。