フレアワゴンは、スズキのスペーシアをマツダが自社の看板で売っている車です。中身は同じ。この一点が、値引き交渉のすべてを決めます。

2023年12月に全面改良を受け、大容量のコンテナをイメージした外観へと変わりました。ボディサイドには、コンテナのプレス面を思わせる線が入っています。

ラインアップはXGとXSの2本。R06D型の自然吸気エンジンに新型のCVTとマイルドハイブリッドを組み合わせ、ターボの設定はありません。

ボディは全長3,395×全幅1,475×全高1,785mm。WLTCモード燃費はXGが25.1km/L、XSが23.9km/Lで、2WDと4WDで数字は変わりません。

安全装備は、マツダの軽自動車として初めてミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた衝突被害軽減ブレーキが全車標準になりました。環状骨格構造や構造用接着材の採用で、ボディの剛性と静かさも引き上げられています。

車両本体からの引きは4〜11万円、真ん中は7.5万円。オプションを含めた総額では10万円前後というのが相場ですが、報告は4件しかなく、しかもすべて2023年12月の全面改良より前のものです。

おすすめグレード

フレアワゴンのグレードは、XGとXSの2つだけ。それぞれに2WDと4WDが用意され、合わせて4通りという分かりやすい構成です。

2年落ちの落札実績を見ると、この2つの間にはっきりした差が出ていました。

評価 グレード名 特徴 新車価格 2年後予想残価率
XG(2WD) 装備を絞った入口。衝突被害軽減ブレーキは上位と同じものが付く
燃費25.1km/Lはラインアップ最良だが、値持ちは4通りで最も低い
154.11万円 ★★★☆☆
(約62%)
XG(4WD) XGの4WDで、上乗せは約13万円。燃費は25.1km/Lのまま落ちない
雪道を走るうえで、いちばん費用を抑えられる組み合わせ
166.76万円 実績なし
XS(2WD) 後席のマルチユースフラップとシートヒーターが入る上級。XGとの差は約17万円
今回集計したなかで残価率が最も高く、XGを12ポイント上回る
171.6万円 ★★★★☆
(約74%)
XS(4WD) 上級グレードの4WD。上乗せは約12万円で、燃費は23.9km/Lのまま
フレアワゴンで唯一180万円台に届く、事実上の最上級
183.59万円 実績なし

※4WDは2年落ちの落札実績が足りず数値を出していない。XGの数値は報告1件から

本命はXSです。

XGとの差は約17万円。ここで入るのが、後席のマルチユースフラップです。シート前端のフラップの位置と角度を変えられる仕組みで、足を伸ばすオットマンにもなれば、荷物が落ちるのを防ぐ壁にもなります。

ほかにも運転席と助手席のシートヒーター、助手席前のビッグオープントレイ、後席の折り畳み式テーブル、左右独立のセンターアームレストが加わります。毎日の使い勝手に直結する装備ばかりです。

値持ちの差も大きく出ました。XSの約74%に対して、XGは約62%。12ポイントの開きは、17万円という価格差を十分に説明します。上げたお金が手放すときに戻ってくる、という関係が成立しているグレードです。

ただしXGの数値は報告1件から出たもので、そのまま当てにするのは避けたほうがいいでしょう。傾向として、装備の厚いグレードのほうが中古で選ばれやすい、と読むのが妥当です。

4WDはXGで約13万円、XSで約12万円の上乗せ。この車では4WDにしても燃費が落ちないので、雪の降る地域なら迷う理由がほとんどありません。

ターボの設定が無い点は、選ぶ前に知っておくべきです。大人4人を乗せて坂道を登る機会が多いなら、ターボを選べる他社のスーパーハイトワゴンを見ておいたほうがいいでしょう。

迷ったら、装備と値持ちで選ぶならXS、費用を抑えるならXGの4WDがおすすめです。

気になる競合車種

まずスズキのスペーシアです。フレアワゴンの元になっている車で、中身は同じ。これほど確実な競合はありません。

同じ車が2つの看板で売られている以上、条件を比べるのは当然の行動です。マツダの店で「スペーシアの見積もりも取っている」と伝えれば、担当者は装備の違いで反論できません。価格で勝負するしかなくなります。

もう1台がホンダのN-BOX。軽のスーパーハイトワゴンで長く先頭を走ってきた相手で、後席の広さと静かさで比べられます。ターボを選べる点も、フレアワゴンには無い強みです。

ここで室内寸法や燃費の数字を並べるのは避けてください。それぞれの得意分野で反論の材料を渡すことになります。名前を出す。伝えるのは、そこまでで足ります。

フレアワゴンの値引き交渉で使えるコツ

この車には、他の車種にはない強いカードがあります。中身の同じスペーシアが、別の看板で売られていることです。

ふつうの競合交渉では「装備が違う」「乗り味が違う」という反論が返ってきます。ところがスペーシアが相手だと、その反論が成立しません。同じ工場で作られた同じ車ですから、担当者に残された手は条件を上げることだけです。

手順は簡単で、先にスズキの店でスペーシアの見積もりを取り、その足でマツダの店へ行きます。金額そのものは見せず、「同じ車をスズキでも見てきた」と伝えるだけで十分です。

取り扱い台数の差も味方になります。フレアワゴンはスペーシアほど数が出ていないぶん、1台の商談の重みが違う。担当者にとっては、逃したくない客ということです。

競合見積りは 見せず・匂わせる

スペーシアとN-BOXの見積書は、フレアワゴンの商談に入る前に手元へ揃えておきましょう。ただし、その紙をテーブルに広げるのは避けたほうが賢明です。

金額を先に見せてしまうと、営業マンはその数字をほんの少し上回るところに着地点を置き、そこで止まります。数字には触れず、「他でも見積もりをお願いしていて、まだ決めきれていない」くらいの温度で止めておく。

着地点が読めない相手に対しては、担当者も手探りで条件を積むしかありません。

スペーシアの名前を出すときも、金額までは言わないこと。「同じ車なら安いほうで」と言い切ってしまうと、担当者は最初から降りてしまいます。迷っている姿勢を保つほうが、条件は伸びます。

時期を狙って待つのは、もう古い

決算期まで待てば値引きは伸びる——長く語られてきた王道ですが、フレアワゴンでは別の考え方が要ります。この車の条件を決めているのは時期ではなく、スペーシアとの比較だからです。

待つ判断には代償もあります。決断を1か月遅らせれば、納車もそのぶん後ろへずれる。ここが今乗っている車の車検満了と噛み合わなくなると厄介です。

もう一度車検を通すか、代車で凌ぐかの二択に追い込まれ、値引きで削った以上の出費がそこで出ていく。軽自動車の車検費用でも、この車で引ける値引き額に迫ります。

時期を読むより、2つの看板を回る手間をかけたほうが確実に効きます。

営業マンが動くポイント

担当者が動きやすいのは、まず月末です。販売台数の締めが迫っていれば、1件の商談の重みが普段とはまるで違ってくる。月の後半に話を詰める段取りにしておくだけで、引き出せる条件は動きます。

週末なのに店内が空いている日も見逃せません。商談テーブルが自分たちだけなら、担当者は時間も気持ちもこちらに集中させられますし、上と掛け合う余裕も生まれる。来店客であふれた日は、どれだけ粘っても「では次回に」で流されて終わりです。

そして聞き方。「いくら引けますか」と迫るのは、実はいちばん通りにくい形です。

「この条件なら今日決めます」

こう言い換えるだけで、担当者にとっては社内で通しやすい話に変わります。

フレアワゴンの場合、この一言にスペーシアの存在を重ねましょう。「同じ車で迷っているので、条件が合うほうで決めます」という言い方なら、担当者も上と掛け合う理由がはっきりします。

基本姿勢は、買う意思が固いことと、他社も本気で比べていることをセットで伝えること。「条件が合えば今日サインする」と「ただスペーシアとN-BOXの見積もりも取っている」を必ず同時に出します。片方だけだと、決め打ちと見抜かれて足元を見られるか、冷やかしと判断されるかのどちらかに転びます。

決めたい。でも条件次第——この温度感を最後まで崩さないことが、担当者にもう一歩踏み込ませる条件になります。

値引きを迫りすぎると嫌われる!?

近年の需要の多さと納期遅れにより、値段を引かなくても売れるという風潮が強まっている中、

  • もっと引いてくれ!
  • あと3万なんとかならんか!
  • ガソリンも満タンにしろ!!

と、あれこれ迫るのも、少し嫌がられそうで悩んでいませんか?

新車を購入してからが本当のお付き合い。無料点検やリコールなど、同じディーラーへ足を運ぶ機会は増えるのに、最初から値引きを迫りすぎて嫌われるのも困ったもの。

でも安く買いたい。

下取り予定のお車があるなら、お車の値引きを「あと1万円!」としつこく迫るより、下取り車を10万円高く売った方が、精神的にもラクなのではないでしょうか。