スペーシアカスタムの購入報告を並べると、半分以上がXSターボでした。ところが3年落ちの落札実績では、ターボなしのXSが上に来ます。

この車が3代目に切り替わったのは2023年11月。頑丈なコンテナをモチーフにしたデザインへ変わり、薄型のフルLEDヘッドランプとシーケンシャルターンランプが与えられました。

ラインアップは、ハイブリッドGS、ハイブリッドXS、ハイブリッドXSターボの3本。全車にマイルドハイブリッドが載り、発進時はモーターだけで動きます。

ボディは全長3,395×全幅1,475×全高1,785mm。軽自動車の枠いっぱいまで使った、いわゆるスーパーハイトワゴンです。

WLTCモード燃費は、ターボなしが23.9km/L、ターボが21.9km/L。この車の面白いところは、2WDと4WDで燃費が変わらない点です。安全装備はスズキで初めて採用されたデュアルセンサーブレーキサポートIIが全車標準で、全車速追従のACCと車線維持支援も付きます。

車両本体からの引きは5〜10万円、オプションからも5〜9万円。総額15万円前後を引き出せれば合格ラインでしょう。

おすすめグレード

スペーシアカスタムのグレード選びは、GSかXSか、そしてターボを付けるかの2段構えです。価格の幅は180万円から219万円と、40万円ほどに収まっています。

3年落ちの落札実績を並べると、この40万円の使い方に答えが見えてきます。

評価 グレード名 特徴 新車価格 3年後予想残価率
ハイブリッドGS(2WD) 装備を絞った入口。安全装備は上位とまったく同じものが付く
車両重量890kgとラインアップ最軽量で、180万円台に収まる
180.18万円 ★★★★★
(約77%)
ハイブリッドGS(4WD) GSの4WDで、上乗せは約12万円。燃費は23.9km/Lのまま落ちない
報告は1件だけだが、値持ちは2WDより8ポイント高く出ている
192.5万円 ★★★★★
(約85%)
ハイブリッドXS(2WD) 15インチの切削アルミホイールが入る中核。GSとの差は約19万円
2WDのなかで残価率が最も高く、ターボ付きも4ポイント上回る
199.54万円 ★★★★★
(約82%)
ハイブリッドXSターボ(2WD) 購入報告の半分以上を占める売れ筋。XSとの差はわずか約8万円
高速道路や坂道での余裕は変わるが、燃費は2.0km/L落ちる
207.35万円 ★★★★★
(約78%)
ハイブリッドXS(4WD) 中核グレードの4WD。上乗せは約12万円で、燃費は落ちない
雪道を走るなら、この組み合わせが最も無理のない選択になる
211.53万円 実績なし
ハイブリッドXSターボ(4WD) ターボと4WDを重ねた最上級。219万円台まで届く
雪道の坂を登る場面が多いなら、ここまで来る意味がある
219.34万円 実績なし

※XSとXSターボの4WDは3年落ちの落札実績が足りず数値を出していない。GSの4WDは報告1件からの値

本命はハイブリッドXSです。

GSとの差は約19万円。ここで15インチの切削アルミホイールが入り、内外装の見え方が変わります。安全装備には差がないので、払う19万円はすべて質感に向かうお金です。

それでも推すのは、2WDのなかで残価率が最も高いからです。約82%という数字は、GSを5ポイント、ターボ付きを4ポイント上回りました。上げた19万円は、手放すときにほぼ戻ってきます。

悩ましいのがターボです。XSとの差はわずか約8万円しかなく、高速道路の合流や坂道での余裕ははっきり変わります。購入報告の半分以上がターボだったのも、この価格差なら当然でしょう。

一方で燃費は2.0km/L落ち、残価率も4ポイント下がります。8万円という価格差に対して、この2つをどう見るか。大人4人を乗せて長距離を走る機会が多いならターボ、街乗り中心なら素のXS、という分け方が現実的です。

予算を抑えるならGSでも十分です。デュアルセンサーブレーキサポートIIも全車速追従のACCも、上位とまったく同じものが付きます。車両重量890kgはラインアップで最も軽く、街中での軽快さはむしろこちらが上でしょう。

4WDは全グレード一律約12万円高。この車では4WDにしても燃費が落ちないので、雪の降る地域なら迷う理由がほとんどありません。GSの4WDは報告1件ながら約85%と高い値持ちを見せていて、傾向としては信じてよさそうです。

迷ったら、価格と値持ちのバランスで選ぶならハイブリッドXS、走りの余裕まで取るならXSターボがおすすめです。

気になる競合車種

まずホンダのN-BOXカスタムです。同じ軽のスーパーハイトワゴンで、販売台数では長く先頭を走ってきた相手。スペーシアカスタムの商談で名前を出せば、担当者が最も意識する一台になります。

後席の使い勝手と静かさで真っ向から比べられる相手だけに、こちらが本気で迷っていると伝わること自体に意味があります。

もう1台がダイハツのタントカスタムです。助手席側のピラーを無くした乗り降りのしやすさが武器で、小さい子どもがいる家庭ではそのまま比較対象になります。3台を並べて見てきたと伝えれば、決めきれていない空気が自然に作れるでしょう。

ここで室内寸法や燃費の数字を並べるのは避けてください。それぞれの得意分野で反論の材料を渡すことになります。名前を出す。伝えるのは、そこまでで足ります。

スペーシアカスタムの値引き交渉で使えるコツ

値引き額の大小だけを追いかけても、あまり実になりません。見るべきは、その引きがどこから出たのかという一点です。車両本体を削ったのか、ディーラーオプションを値引いたのか、下取り査定を上乗せして帳尻を合わせたのか。出どころが違えば、次に押せる場所も変わります。

スペーシアカスタムは、本体とオプションがほぼ同じ大きさで動く車です。本体から5〜10万円、オプションからも5〜9万円。どちらか片方だけを詰めて満足すると、半分を取りこぼすことになります。

報告の数が30件と多いのも、この車の特徴です。それだけ台数が出ているということで、担当者にとっても値引きの前例が積み上がっている。相場から大きく外れた条件は、こちらからも相手からも出しにくくなります。

ゼロ回答は4件。粘っても動かない商談が現実にあるということですから、本体一本に賭けるのは避けましょう。用品を一通り見積もりに載せたうえで、総額でいくらになるかを一本の話にするのが確実です。

競合見積りは 見せず・匂わせる

N-BOXカスタムとタントカスタムの見積書は、スペーシアカスタムの商談に入る前に手元へ揃えておきましょう。ただし、その紙をテーブルに広げるのは避けたほうが賢明です。

金額を先に見せてしまうと、営業マンはその数字をほんの少し上回るところに着地点を置き、そこで止まります。数字には触れず、「他でも見積もりをお願いしていて、まだ決めきれていない」くらいの温度で止めておく。

着地点が読めない相手に対しては、担当者も手探りで条件を積むしかありません。

軽のスーパーハイトワゴンは、各社が最も力を入れている激戦区です。他メーカーの2台を実際に見てきたと示すだけで、条件次第で流れる客だと伝わります。

時期を狙って待つのは、もう古い

決算期まで待てば値引きは伸びる——長く語られてきた王道ですが、いまのスペーシアカスタムでは分が悪くなっています。3代目に切り替わってからまだ日が浅く、受注も安定して積み上がっているためです。

待つ判断には代償もあります。決断を1か月遅らせれば、納車もそのぶん後ろへずれる。ここが今乗っている車の車検満了と噛み合わなくなると厄介です。

もう一度車検を通すか、代車で凌ぐかの二択に追い込まれ、値引きで削った以上の出費がそこで出ていく。軽自動車の車検費用でも、この車で引ける値引き額に迫ります。

狙うなら、決算までの数か月ではなく数週間の単位。月末の締めに合わせて一気に詰めるくらいが、ちょうどいい待ち方だと思います。

営業マンが動くポイント

担当者が動きやすいのは、まず月末です。販売台数の締めが迫っていれば、1件の商談の重みが普段とはまるで違ってくる。月の後半に話を詰める段取りにしておくだけで、引き出せる条件は動きます。

週末なのに店内が空いている日も見逃せません。商談テーブルが自分たちだけなら、担当者は時間も気持ちもこちらに集中させられますし、上と掛け合う余裕も生まれる。来店客であふれた日は、どれだけ粘っても「では次回に」で流されて終わりです。

そして聞き方。「いくら引けますか」と迫るのは、実はいちばん通りにくい形です。

「この条件なら今日決めます」

こう言い換えるだけで、担当者にとっては社内で通しやすい話に変わります。

スペーシアカスタムで使えるのが、XSとXSターボの段差を材料にする手です。差は約8万円しかありません。「XSの見積もりでこの金額なら、ターボで同じところまで来ませんか」という持ちかけ方は、担当者にとっても社内で説明しやすい話になります。

基本姿勢は、買う意思が固いことと、他社も本気で比べていることをセットで伝えること。「条件が合えば今日サインする」と「ただN-BOXカスタムとタントカスタムの見積もりも取っている」を必ず同時に出します。片方だけだと、決め打ちと見抜かれて足元を見られるか、冷やかしと判断されるかのどちらかに転びます。

決めたい。でも条件次第——この温度感を最後まで崩さないことが、担当者にもう一歩踏み込ませる条件になります。

値引きを迫りすぎると嫌われる!?

近年の需要の多さと納期遅れにより、値段を引かなくても売れるという風潮が強まっている中、

  • もっと引いてくれ!
  • あと3万なんとかならんか!
  • ガソリンも満タンにしろ!!

と、あれこれ迫るのも、少し嫌がられそうで悩んでいませんか?

新車を購入してからが本当のお付き合い。無料点検やリコールなど、同じディーラーへ足を運ぶ機会は増えるのに、最初から値引きを迫りすぎて嫌われるのも困ったもの。

でも安く買いたい。

下取り予定のお車があるなら、お車の値引きを「あと1万円!」としつこく迫るより、下取り車を10万円高く売った方が、精神的にもラクなのではないでしょうか。