スペーシアギアは、グレードが4通りしかありません。そのすべてで3年落ちならぬ2年落ちの落札実績が拾えたので、値持ちを直接比べられます。

結論から言うと、勝つのはターボです。ハイブリッドXZターボの2WDが約90%で、ターボなしのXZより6ポイント上を行きました。

ラインアップは、0.6Lの自然吸気を積むハイブリッドXZと、ターボのハイブリッドXZターボの2本。どちらもマイルドハイブリッドが載り、2WDと4WDから選べます。

ボディは全長3,395×全幅1,475×全高1,800mm。スペーシアの背の高さをそのままに、撥水加工のシートと防汚タイプのラゲッジフロア、ルーフレールを与えたのがこのギアです。

WLTCモード燃費は自然吸気が23.9km/L、ターボが21.9km/L。4WDにしても数字は変わりません。安全装備はデュアルセンサーブレーキサポートIIが標準で、全車速追従のACCと車線維持支援も付きます。

車両本体からの引きは3〜10万円、オプションからも3〜8万円。総額15万円前後を引き出せれば合格ラインでしょう。

おすすめグレード

選ぶ組み合わせは4通り。ターボを付けるかどうかと、4WDにするかどうか。それだけです。195万円から216万円までの20万円の幅に、4つが収まっています。

2年落ちの落札実績を並べると、この20万円の使い方に答えが出ています。

評価 グレード名 特徴 新車価格 2年後予想残価率
ハイブリッドXZ(2WD) 自然吸気の入口。燃費23.9km/Lは4通りで最良
専用のシートもラゲッジフロアもルーフレールも、ここから付く
195.25万円 ★★★★★
(約84%)
ハイブリッドXZターボ(2WD) ターボを積んで坂道と高速の余裕を持たせた一台。上乗せは約8万円
今回集計したなかで残価率が最も高く、8万円が確実に戻ってくる
203.72万円 ★★★★★
(約90%)
ハイブリッドXZ(4WD) 自然吸気の4WDで、上乗せは約12万円。燃費は23.9km/Lのまま落ちない
値持ちも2WDより5ポイント高く、雪国では素直に選べる
207.24万円 ★★★★★
(約89%)
ハイブリッドXZターボ(4WD) ターボと4WDを重ねた最上級。値引きの報告数はここが最も多い
組み合わせとしては最も強いが、値持ちは意外にも4通りで最も低い
215.71万円 ★★★★★
(約84%)

※現行モデルは登場から3年未満のため2年落ちで集計。ターボの4WDは報告1件からの値

本命はハイブリッドXZターボの2WDです。

自然吸気との差はわずか約8万円。それで残価率が6ポイント上がるのですから、上げた金額はそのまま戻ってきます。

中身の差も小さくありません。全高1,800mmの背の高い車体に大人4人を乗せて坂道を登る場面では、ターボの有無ではっきり違いが出ます。アウトドア向けの装備を持つ車ですから、荷物を積んで山道を走ることも想定されているはずです。

燃費は2.0km/L落ちますが、その代わりに得られるものを考えれば妥当な交換でしょう。

4WDの読み方は少し複雑です。自然吸気の4WDは約89%と2WDより5ポイント高いのに、ターボの4WDは約84%と下がりました。ただしターボの4WDは報告1件からの数字で、そのまま当てにするのは避けたほうがいいでしょう。

値引きの報告数では、ターボの4WDが最も多く集まっていました。実際に売れているのはこの組み合わせということです。雪の降る地域で荷物を積んで走るなら、迷わずここを選んで問題ありません。

この車でもうひとつ押さえておきたいのが、後席のマルチユースフラップです。フラップの位置と角度を変えることで、足を伸ばすオットマン、走行中の姿勢を支えるレッグサポート、荷物の落下を防ぐストッパーの3つに使い分けられます。全グレードに付くので、グレード選びの材料にはなりません。

迷ったら、値持ちまで含めて選ぶならハイブリッドXZターボの2WD、雪道も走るなら同じターボの4WDがおすすめです。

気になる競合車種

まず三菱のデリカミニです。同じ軽のスーパーハイトワゴンにアウトドアの味付けをした車で、狙っている客層がそのまま重なります。スペーシアギアの商談で名前を出せば、担当者が最も意識する一台になります。

デリカという名前が持つ悪路のイメージは、スズキ側から見て嫌な相手でしょう。だからこそ、比べていると伝える価値があります。

もう1台がダイハツのタフトです。ガラスルーフを備えた軽SUVで、遊び道具としての性格が近い。背は低めですが、選ぶ動機は重なります。両方を見てきたと伝えれば、まだ決めきれていない空気が自然に作れるでしょう。

ここで最低地上高や燃費の数字を並べるのは避けてください。それぞれの得意分野で反論の材料を渡すことになります。名前を出す。伝えるのは、そこまでで足ります。

スペーシアギアの値引き交渉で使えるコツ

値引き額の大小だけを追いかけても、あまり実になりません。見るべきは、その引きがどこから出たのかという一点です。車両本体を削ったのか、ディーラーオプションを値引いたのか、下取り査定を上乗せして帳尻を合わせたのか。出どころが違えば、次に押せる場所も変わります。

スペーシアギアは、本体とオプションの両方が動く車です。本体から3〜10万円、オプションからも3〜8万円。どちらか片方だけを詰めて満足すると、半分を取りこぼすことになります。

ゼロ回答は7件中2件。粘っても動かない商談が現実にあるということですから、本体一本に賭けるのは避けましょう。

この車は用品を積む人が多いのも特徴です。アウトドア向けの装備を目当てに選ぶ以上、ラゲッジのマットやルーフキャリアまで一通り見積もりに載せることになる。用品の金額が大きくなるほど、削れる幅も広がります。

競合見積りは 見せず・匂わせる

デリカミニとタフトの見積書は、スペーシアギアの商談に入る前に手元へ揃えておきましょう。ただし、その紙をテーブルに広げるのは避けたほうが賢明です。

金額を先に見せてしまうと、営業マンはその数字をほんの少し上回るところに着地点を置き、そこで止まります。数字には触れず、「他でも見積もりをお願いしていて、まだ決めきれていない」くらいの温度で止めておく。

着地点が読めない相手に対しては、担当者も手探りで条件を積むしかありません。

もうひとつ、同じスズキの店にはスペーシアとスペーシアカスタムも並んでいます。「アウトドア仕様でなくてもいいかもしれない」という迷いを見せると、担当者はギアを選ばせるために条件を積む理由ができます。

時期を狙って待つのは、もう古い

決算期まで待てば値引きは伸びる——長く語られてきた王道ですが、いまのスペーシアギアでは分が悪くなっています。2024年9月に現行の形になってから日が浅く、受注も安定しているためです。

待つ判断には代償もあります。決断を1か月遅らせれば、納車もそのぶん後ろへずれる。ここが今乗っている車の車検満了と噛み合わなくなると厄介です。

もう一度車検を通すか、代車で凌ぐかの二択に追い込まれ、値引きで削った以上の出費がそこで出ていく。軽自動車の車検費用でも、この車で引ける値引き額に迫ります。

キャンプやスキーに使う予定があるなら、使いたい季節から逆算して動くほうが満足度は高いでしょう。

営業マンが動くポイント

担当者が動きやすいのは、まず月末です。販売台数の締めが迫っていれば、1件の商談の重みが普段とはまるで違ってくる。月の後半に話を詰める段取りにしておくだけで、引き出せる条件は動きます。

週末なのに店内が空いている日も見逃せません。商談テーブルが自分たちだけなら、担当者は時間も気持ちもこちらに集中させられますし、上と掛け合う余裕も生まれる。来店客であふれた日は、どれだけ粘っても「では次回に」で流されて終わりです。

そして聞き方。「いくら引けますか」と迫るのは、実はいちばん通りにくい形です。

「この条件なら今日決めます」

こう言い換えるだけで、担当者にとっては社内で通しやすい話に変わります。

スペーシアギアで使えるのが、ターボの有無を材料にする手です。差は約8万円しかありません。「自然吸気の見積もりでこの金額なら、ターボで同じところまで来ませんか」という持ちかけ方は、担当者にとっても社内で説明しやすい話になります。

基本姿勢は、買う意思が固いことと、他社も本気で比べていることをセットで伝えること。「条件が合えば今日サインする」と「ただデリカミニとタフトの見積もりも取っている」を必ず同時に出します。片方だけだと、決め打ちと見抜かれて足元を見られるか、冷やかしと判断されるかのどちらかに転びます。

決めたい。でも条件次第——この温度感を最後まで崩さないことが、担当者にもう一歩踏み込ませる条件になります。

値引きを迫りすぎると嫌われる!?

近年の需要の多さと納期遅れにより、値段を引かなくても売れるという風潮が強まっている中、

  • もっと引いてくれ!
  • あと3万なんとかならんか!
  • ガソリンも満タンにしろ!!

と、あれこれ迫るのも、少し嫌がられそうで悩んでいませんか?

新車を購入してからが本当のお付き合い。無料点検やリコールなど、同じディーラーへ足を運ぶ機会は増えるのに、最初から値引きを迫りすぎて嫌われるのも困ったもの。

でも安く買いたい。

下取り予定のお車があるなら、お車の値引きを「あと1万円!」としつこく迫るより、下取り車を10万円高く売った方が、精神的にもラクなのではないでしょうか。