405馬力のスポーツカーが549万円から。フェアレディZの価格は、性能に対してかなり攻めた設定です。そのぶん値引きは、ほとんど出ません。

購入報告6件のうち4件が車両本体ゼロ回答で、値引き率の平均は1.0%。最も引けた例でも3.0%どまりでした。

2022年に出た現行のZは、2025年モデルでボディカラーが一新されました。ワンガンブルーやミッドナイトパープルを含む全11色となり、SOSコールも全グレード標準になっています。

心臓は3LのV6ツインターボ。最高出力405馬力、最大トルク475N・mという数字を持ちます。ニスモだけは420馬力/520N・mまで引き上げられました。

変速機は、ニスモが9速ATのみ。ほかのグレードは6速MTと9速ATから選べます。駆動は当然のように後輪です。

ボディは全長4,380×全幅1,845×全高1,315mm。ニスモでは全長4,410×全幅1,870mmまで広がります。WLTCモード燃費は6速MTが9.5km/L、9速ATが10.2km/L。

本体が動かない車で、どこを削るか。答えはグレードの選び方と下取りです。

おすすめグレード

Zのラインアップは、ベースグレード、バージョンT、バージョンS、バージョンST、そしてニスモの5本立て。549万円から930万円まで、幅はかなり広く取られています。

2年落ちの落札実績を見ると、上に行くほど値持ちが良くなるわけではないことが分かります。

評価 グレード名 特徴 新車価格 2年後予想残価率
ベースグレード(6MT/9AT) 405馬力のエンジンは上位とまったく同じもの。価格差は装備だけ
Zで唯一540万円台に収まり、走りの中身で妥協する部分はない
549.78万円 実績なし
バージョンT(9AT) 快適装備を足した系統で、ベースからは約46万円
長い距離を流して走る使い方なら、この装備差は毎日の満足に変わる
595.98万円 実績なし
バージョンS(6MT) 走りに必要なものを揃えた6速MT専用。ベースからは約85万円
今回集計したなかで残価率が最も高く、上のSTより約41万円安い
634.7万円 ★★★★☆
(約78%)
バージョンST(6MT/9AT) 装備が揃う上級で、値引きの報告数も最も多い
バージョンSとの残価率の差は2ポイントで、装備差を考えれば十分に選べる
675.95万円 ★★★★☆
(約76%)
ニスモ(9AT) 420馬力まで引き上げた頂点。9速ATのみで、車体も一回り広い
バージョンSTから約254万円という段差に対し、値持ちは11ポイント下がる
930.27万円 ★★★☆☆
(約65%)

※現行モデルは登場から3年未満のため2年落ちで集計。ベースグレードとバージョンTは落札実績が足りず数値を出していない

本命はバージョンSです。

2年落ちの落札実績で約78%と、今回読み取れた範囲で最も高い数字が出ました。しかも上のバージョンSTより約41万円安い。走りに必要なものは揃っていて、6速MTで乗ることが前提のグレードです。

ただし、バージョンSTとの差は2ポイントしかありません。どちらも報告の件数が少ないので、この差だけで優劣を決めるのは危険です。装備の内容を店頭で見比べて、納得できるほうを選んでください。

はっきりしているのはニスモの位置づけです。バージョンSTから約254万円という段差に対して、2年落ちの値持ちは11ポイント下がりました。420馬力と専用の車体に価値を見出せる人向けで、値持ちで取り戻す方向の選択ではありません。

予算を抑えるならベースグレードで十分です。405馬力のエンジンも後輪駆動という成り立ちも、上位とまったく同じ。走りの中身で妥協する部分はありません。540万円台という価格は、この性能の車としては貴重です。

バージョンTは快適装備を足した系統で、ベースから約46万円。長い距離を流して走る使い方なら、この差は毎日の満足に変わります。

変速機の選び方も押さえておきましょう。燃費は9速ATが10.2km/L、6速MTが9.5km/L。数字ではATが上ですが、Zを選ぶ動機を考えれば、そこで決める人は多くないはずです。

迷ったら、走りと値持ちで選ぶならバージョンS、装備まで揃えるならバージョンSTがおすすめです。

気になる競合車種

まずトヨタのGRスープラです。後輪を駆動する2ドアクーペで、価格帯も真正面から重なります。Zの商談で名前を出せば、担当者が最も意識する一台になります。

直列6気筒という成り立ちの違いはありますが、買いに来る客層はほぼ同じ。だからこそ、比べていると伝える価値があります。

もう1台がスバルのBRZ。価格帯はZより下ですが、後輪駆動のスポーツカーという括りでは代わりになり得ます。「予算次第ではこちらに落とす」という空気は、担当者にとって最も避けたい展開でしょう。

ここで馬力や加速の数字を並べるのは避けてください。それぞれの得意分野で反論の材料を渡すことになります。名前を出す。伝えるのは、そこまでで足ります。

フェアレディZの値引き交渉で使えるコツ

値引き額の大小だけを追いかけても、この車では実になりません。報告の3分の2が本体ゼロ回答という状況で、本体価格を何度突いても返ってくる言葉は同じです。

台数を追う車ではない、という事情を理解しておきましょう。年間の販売規模が小さく、値引きで背中を押さなくても買う人は買う。だからこそ、本体価格を削り合う交渉は最初から筋が悪いのです。

オプション側も真ん中はゼロですが、10万円まで引かれた報告は出ています。用品を一通り見積もりに載せておけば、最後の詰めで動く可能性は残ります。

いちばん確実なのは下取りです。本体を1円も削れないなら、いま乗っている車をいくらで通すかが総額を決めます。買い取り専門店の査定を先に取り、その数字を持って商談に入りましょう。

競合見積りは 見せず・匂わせる

GRスープラとBRZの見積書は、Zの商談に入る前に手元へ揃えておきましょう。ただし、その紙をテーブルに広げるのは避けたほうが賢明です。

金額を先に見せてしまうと、営業マンはその数字をほんの少し上回るところに着地点を置き、そこで止まります。数字には触れず、「他でも見積もりをお願いしていて、まだ決めきれていない」くらいの温度で止めておく。

着地点が読めない相手に対しては、担当者も手探りで条件を積むしかありません。

この手の車は、担当者も「買う気があるかどうか」を強く見ています。趣味の車を冷やかしで見に来る客が一定数いるためです。迷っている理由が金額であるとだけは、はっきり伝えておきましょう。

時期を狙って待つのは、もう古い

決算期まで待てば値引きは伸びる——長く語られてきた王道ですが、フェアレディZではほとんど機能しません。値引きの原資がそもそも無い車だからです。

そもそも本体が動かない車ですから、待って伸びる幅も知れています。数万円のために数か月を費やす計算は成り立ちません。

待つ判断には代償もあります。決断を1か月遅らせれば納車もそのぶん後ろへずれ、今乗っている車の車検満了と噛み合わなくなると厄介です。もう一度車検を通すか代車で凌ぐかの二択に追い込まれ、値引きで削った以上の出費がそこで出ていきます。

この車に関しては、待つ意味を探すより、下取りをいくらで通すかに時間を使ったほうが確実です。

営業マンが動くポイント

担当者が動きやすいのは、まず月末です。販売台数の締めが迫っていれば、1件の商談の重みが普段とはまるで違ってくる。月の後半に話を詰める段取りにしておくだけで、引き出せる条件は動きます。

週末なのに店内が空いている日も見逃せません。商談テーブルが自分たちだけなら、担当者は時間も気持ちもこちらに集中させられますし、上と掛け合う余裕も生まれる。来店客であふれた日は、どれだけ粘っても「では次回に」で流されて終わりです。

そして聞き方。「いくら引けますか」と迫るのは、この車ではいちばん通りにくい形です。

「この条件なら今日決めます」

こう言い換えるだけで、担当者にとっては社内で通しやすい話に変わります。

フェアレディZでは、この条件を下取りと用品で組みましょう。「下取りをこの金額で見てもらえるなら今日決めます」という持ちかけ方なら、本体価格に手をつけずに総額を下げられます。担当者にとっても、値引き稟議より通しやすい話です。

基本姿勢は、買う意思が固いことと、他社も本気で比べていることをセットで伝えること。「条件が合えば今日サインする」と「ただGRスープラとBRZの見積もりも取っている」を必ず同時に出します。片方だけだと、決め打ちと見抜かれて足元を見られるか、冷やかしと判断されるかのどちらかに転びます。

決めたい。でも条件次第——この温度感を最後まで崩さないことが、担当者にもう一歩踏み込ませる条件になります。

値引きを迫りすぎると嫌われる!?

近年の需要の多さと納期遅れにより、値段を引かなくても売れるという風潮が強まっている中、

  • もっと引いてくれ!
  • あと3万なんとかならんか!
  • ガソリンも満タンにしろ!!

と、あれこれ迫るのも、少し嫌がられそうで悩んでいませんか?

新車を購入してからが本当のお付き合い。無料点検やリコールなど、同じディーラーへ足を運ぶ機会は増えるのに、最初から値引きを迫りすぎて嫌われるのも困ったもの。

でも安く買いたい。

下取り予定のお車があるなら、お車の値引きを「あと1万円!」としつこく迫るより、下取り車を10万円高く売った方が、精神的にもラクなのではないでしょうか。