480万円で買って、2年後に730万円。ランドクルーザー70の落札実績は、そういう数字になっています。残価率にすると約152%です。
値引きは1円も出ません。購入報告は2件、どちらも本体・オプションともにゼロ回答でした。
この2つの数字が並ぶ車は、そう多くありません。値引き交渉という発想そのものが、この車には合わないということです。
ランドクルーザー70は1984年に国内で販売が始まり、その後は海外で売られ続けてきました。2023年11月、国内へ再び導入されたのがいまの型です。
心臓は2.8Lの直噴ターボディーゼル。これに6速ATとパートタイム4WDを組み合わせます。水平と垂直を基調にしたシルエットは、道具としての機能性をそのまま形にしたものです。
ボディは全長4,890×全幅1,870×全高1,920mm。車両重量は2,300kgに達します。WLTCモード燃費は10.1km/L。バックモニターとToyota Safety Senseが備わり、プリクラッシュセーフティやドライブスタートコントロールも入りました。
おすすめグレード
ランドクルーザー70のグレードは、AXの1つだけです。選ぶ余地がありません。
だからこそ、この車で判断すべきは「買うか買わないか」だけになります。判断の材料として、2年落ちの落札実績を置いておきます。
| 評価 | グレード名 | 特徴 | 新車価格 | 2年後予想残価率 |
|---|---|---|---|---|
| ◎ | AX(ディーゼル) | 2.8L直噴ターボディーゼルに6速ATとパートタイム4WDを組み合わせた唯一のグレード 2年落ちの落札実績は約152%。新車価格を5割上回る水準で取引されている |
480.0万円 | ★★★★★ (約152%) |
※国内再導入から3年未満のため2年落ちで集計。落札実績3台からの値
本命はAX、というより選択肢がAXしかありません。
そのぶん、この車の話は数字がすべてを語ります。約152%という値持ちは、この記事の一連で扱ったどの車よりも高い水準です。
なぜここまで上がるのか。理由は供給の少なさにあります。国内に入ってくる台数が限られている一方で、欲しい人は世界中にいる。新車で手に入れられない人が中古市場に流れ込み、価格が押し上げられている構図です。
だから値引きも出ません。定価で売っても買い手がいる車に、条件を積む理由が店側にないからです。
買う側から見れば、これは悪い話ばかりではありません。値引きゼロで買っても、2年後に新車価格を上回って手放せる可能性がある。実質の負担額で考えれば、値引きが数十万円出る車より有利になり得ます。
ただし、注意すべき点もあります。この水準が続く保証はどこにもありません。供給が増えれば相場は落ち着きますし、中古価格は新車の納期状況に強く引きずられます。買った金額で売れることを前提に予算を組むのは危険です。
そしてもうひとつ。全長4,890×全幅1,870×全高1,920mmという寸法は、日本の道と駐車場をかなり選びます。とくに全高1,920mmは、多くの機械式駐車場に入りません。買う前に、自宅と職場の駐車環境を必ず確かめてください。
グレードは1つだけ。買うと決めたら、値引きより納期と駐車環境を確かめることに時間を使いましょう。
気になる競合車種
まずジープのラングラーです。悪路を走ることそのものを目的にした車で、価格帯も上から重なります。ランドクルーザー70の商談で名前を出せば、担当者はすぐに意図を汲むでしょう。
ラダーフレームと本格的な四輪駆動という成り立ちが同じで、選ぶ動機もほぼ重なります。代わりがきく数少ない相手です。
もう1台がスズキのジムニーシエラ。寸法も価格も大きく下ですが、ラダーフレームと副変速機を持つという一点では同じ土俵に立ちます。「そこまで大きくなくてもいいかもしれない」という迷いを見せる相手として有効でしょう。
ここで最低地上高や登坂能力の数字を並べるのは避けてください。それぞれの得意分野で反論の材料を渡すことになります。名前を出す。伝えるのは、そこまでで足ります。
ランドクルーザー70の値引き交渉で使えるコツ
この車で値引きを追いかけるのは、時間の無駄です。報告2件がどちらも本体・オプションともゼロ回答。台数が限られ、定価で買い手が付く車に、条件を積む理由はありません。
交渉すべきは値引きではなく、納期です。いつ手に入るのかが最大の関心事になる車ですから、そこを詰めるほうが実になります。
そして下取り。本体もオプションも1円も動かないなら、いま乗っている車をいくらで通すかが総額のすべてを決めます。買い取り専門店の査定を先に取り、その数字を持って商談に入りましょう。
もうひとつ、この車では転売目的とみなされないことも大切です。中古市場で新車価格を上回っている以上、店側はそこを警戒します。長く乗るつもりであることを伝えたほうが、話は前に進みます。
競合見積りは 見せず・匂わせる
ラングラーとジムニーシエラの見積書は、ランドクルーザー70の商談に入る前に手元へ揃えておきましょう。ただし、その紙をテーブルに広げるのは避けたほうが賢明です。
金額を先に見せてしまうと、営業マンはその数字をほんの少し上回るところに着地点を置き、そこで止まります。数字には触れず、「他でも見積もりをお願いしていて、まだ決めきれていない」くらいの温度で止めておく。
着地点が読めない相手に対しては、担当者も手探りで条件を積むしかありません。
ただしこの車では、匂わせる先を本体値引きに置いても動きません。狙うのは納期です。「他はいつ納車できると言っている」という切り口のほうが、担当者にとっては具体的に動ける話になります。
時期を狙って待つのは、もう古い
決算期まで待てば値引きは伸びる——長く語られてきた王道ですが、ランドクルーザー70ではまったく機能しません。値引きの原資がそもそも無い車だからです。
この車で待つことの代償は、他の車より大きくなります。供給が限られている以上、注文が1か月遅れれば納車はそれ以上に遅れる。列の後ろに並び直すことになるからです。
今乗っている車の車検満了と噛み合わなくなれば、もう一度車検を通すか代車で凌ぐかの二択に追い込まれます。そこで出ていく金額は、この車で引ける値引き額——つまりゼロ——をはるかに超えます。
買うと決めたなら、早く注文する。それがこの車における唯一の交渉術です。
営業マンが動くポイント
担当者が動きやすいのは、まず月末です。販売台数の締めが迫っていれば、1件の商談の重みが普段とはまるで違ってくる。月の後半に話を詰める段取りにしておくだけで、引き出せる条件は動きます。
週末なのに店内が空いている日も見逃せません。商談テーブルが自分たちだけなら、担当者は時間も気持ちもこちらに集中させられますし、上と掛け合う余裕も生まれる。来店客であふれた日は、どれだけ粘っても「では次回に」で流されて終わりです。
そして聞き方。「いくら引けますか」と迫るのは、この車ではいちばん通りにくい形です。
「この条件なら今日決めます」
こう言い換えるだけで、担当者にとっては社内で通しやすい話に変わります。
ランドクルーザー70では、この条件を下取りと納期で組みましょう。「下取りをこの金額で見てもらえて、この時期に納車できるなら今日決めます」という持ちかけ方なら、値引きに触れずに話を進められます。
基本姿勢は、買う意思が固いことと、他社も本気で比べていることをセットで伝えること。「条件が合えば今日サインする」と「ただラングラーとジムニーシエラの見積もりも取っている」を必ず同時に出します。片方だけだと、決め打ちと見抜かれて足元を見られるか、冷やかしと判断されるかのどちらかに転びます。
決めたい。でも条件次第——この温度感を最後まで崩さないことが、担当者にもう一歩踏み込ませる条件になります。
値引きを迫りすぎると嫌われる!?
近年の需要の多さと納期遅れにより、値段を引かなくても売れるという風潮が強まっている中、
- もっと引いてくれ!
- あと3万なんとかならんか!
- ガソリンも満タンにしろ!!
と、あれこれ迫るのも、少し嫌がられそうで悩んでいませんか?
新車を購入してからが本当のお付き合い。無料点検やリコールなど、同じディーラーへ足を運ぶ機会は増えるのに、最初から値引きを迫りすぎて嫌われるのも困ったもの。
でも安く買いたい。
下取り予定のお車があるなら、お車の値引きを「あと1万円!」としつこく迫るより、下取り車を10万円高く売った方が、精神的にもラクなのではないでしょうか。