レクサスは値引きをしない、とよく言われます。ISの購入報告を並べると、それが誇張でないことが分かります。

集まった6件は、車両本体の値引きがすべてゼロ。動いたのはオプション側だけで、それも真ん中で2〜3万円、最も引けた例で10万円という水準です。

そのISに、2026年1月、「熟成」を掲げた一部改良が入りました。電動パワーステアリングを刷新してラックギヤにバリアブルギヤを採用し、AVSにも手を入れています。センターディスプレイとメーターは12.3インチへ大型化されました。

心臓は2.5L直列4気筒の178馬力を積むハイブリッド、IS300h。駆動は後輪です。コンパクトなFRセダンという成り立ちは、13年前の登場時から変わっていません。

ボディは全長4,720×全幅1,840×全高1,435mm。WLTCモード燃費は17.6km/Lで、グレードによる差はありません。

本体が動かない車で、どこを削るか。答えはオプションと下取り、そしてグレードの選び方です。

おすすめグレード

ISのラインアップは、標準のIS300h、内装を上質に振ったバージョンL、走りに振ったFスポーツの3本立て。ここに特別仕様車のFスポーツモードブラックVが加わります。

3年落ちの落札実績を見ると、この3本の間にはっきりした差が出ていました。

評価 グレード名 特徴 新車価格 3年後予想残価率
IS300h ISの基準。12.3インチのディスプレイもメーターも上位と同じものが付く
ISで唯一500万円台に収まり、走りの中身は上と変わらない
580.0万円 実績なし
IS300h バージョンL 内装を上質に振った系統で、上乗せは30万円
ところが残価率は約63%と最も低く、上げた金額が戻ってこない
610.0万円 ★★★☆☆
(約63%)
IS300h Fスポーツ 専用の内外装と締めた脚を持つ売れ筋。値引きの報告数も最も多い
今回集計したなかで残価率が最も高く、バージョンLを14ポイント上回る
635.0万円 ★★★★☆
(約77%)
IS300h Fスポーツ モードブラックV BBS製の鍛造アルミとウルトラスエードの内装でまとめた特別仕様車
Fスポーツから40万円上。台数が絞られる仕様は、中古で強く出やすい
675.0万円 実績なし

※標準のIS300hと特別仕様車は3年落ちの落札実績が足りず数値を出していない。四輪駆動とIS350は2026年1月の改良後の案内が出ていないため、商談前に設定を確認したい

本命はFスポーツです。

標準のIS300hとの差は55万円。専用のフロントバンパーとメッシュグリル、締めた脚と専用の内装が入ります。走りの中身が変わる装備なので、乗っている間の満足度がそのまま上がる部分です。

残価率でも約77%と、今回読み取れた範囲で最も高い数字が出ました。値引きが出ない車では、この値持ちが実質の負担を決めます。買うときに削れないなら、売るときに残る額で考えるしかありません。

件数の裏づけもあります。値引きの報告でも、Fスポーツが最も多く集まっていました。新車で選ぶ人が多いということは、中古で探す人も多いということです。

気をつけたいのがバージョンLです。上乗せは30万円で内装の質感は確かに上がりますが、残価率は約63%とFスポーツを14ポイント下回りました。内装の上質さは中古市場で評価されにくい、という傾向がここに出ています。

標準のIS300hも、悪い選択ではありません。12.3インチのディスプレイもメーターも上位と同じで、走りの基本部分に差はない。500万円台で収まる唯一のグレードでもあります。

特別仕様車のFスポーツモードブラックVは、Fスポーツから40万円。BBS製の鍛造アルミホイールをブラックで塗り、シートとセンターコンソール、ドアトリムにウルトラスエードを使った内容です。台数が絞られる特別仕様は中古で強く出やすいので、長く乗る前提でなければ検討する価値があります。

迷ったら、値持ちまで含めて選ぶならFスポーツ、予算を抑えるなら標準のIS300hがおすすめです。

気になる競合車種

まずBMWの3シリーズです。コンパクトなFRセダンという成り立ちが真正面から重なり、価格帯もISのFスポーツあたりと並びます。レクサスの店で名前を出せば、担当者が最も意識する一台になります。

走りの評価で先行してきた相手だけに、比べていると伝えること自体に意味があります。ISが「熟成」を掲げて操舵まわりに手を入れたのも、この土俵で戦うためです。

もう1台がメルセデス・ベンツのCクラス。内装の質感と静かさで押してくるタイプで、バージョンLを検討している人ならそのまま比較対象になります。両方を見てきたと伝えれば、まだ決めきれていない空気が自然に作れるでしょう。

ここで馬力や加速の数字を並べるのは避けてください。それぞれの得意分野で反論の材料を渡すことになります。名前を出す。伝えるのは、そこまでで足ります。

下取りに出す予定のお車があるなら、商談の前に相場を見ておいてください。

ディーラーは、値引きと下取りを合わせた「支払総額」で見積もりを組みます。お車の値引きを1万円ねばるより、下取り車が10万円高く売れたほうが、支払いは軽くなるのです。

いまの相場を確かめる

下取りに出す予定のお車を選んでください。オートオークションでの落札実績から、いまの相場をお出しします。

レクサスISの値引き交渉で使えるコツ

値引き額の大小だけを追いかけても、この車では実になりません。報告6件すべてが本体ゼロ回答という状況で、本体価格を何度突いても返ってくる言葉は同じです。

レクサスは販売店ごとの値引き競争を避ける方針を取っています。同じ看板の別の店へ行っても、条件が大きく変わることは期待できません。国産車の商談で当たり前に使う「他店と比べる」という手が、ここでは効かないということです。

その代わり、オプション側にはわずかな余地があります。真ん中は2〜3万円ですが、10万円まで引かれた報告も出ている。用品を一通り見積もりに載せておけば、最後の詰めで動く可能性は残ります。

もっと大きいのが下取りです。本体を1円も削れないなら、いま乗っている車をいくらで通すかが総額を決めます。買い取り専門店の査定を先に取り、その数字を持って商談に入りましょう。ここだけは金額が動きます。

競合見積りは 見せず・匂わせる

3シリーズとCクラスの見積書は、ISの商談に入る前に手元へ揃えておきましょう。ただし、その紙をテーブルに広げるのは避けたほうが賢明です。

金額を先に見せてしまうと、営業マンはその数字をほんの少し上回るところに着地点を置き、そこで止まります。数字には触れず、「他でも見積もりをお願いしていて、まだ決めきれていない」くらいの温度で止めておく。

着地点が読めない相手に対しては、担当者も手探りで条件を積むしかありません。

ISの場合、輸入車の名前を出す意味は本体値引きではなく、担当者の姿勢を変えることにあります。本体で勝負できない以上、用品や納期、下取りといった動かせる部分に本気を出してもらう。そのための一言だと考えてください。

時期を狙って待つのは、もう古い

決算期まで待てば値引きは伸びる——長く語られてきた王道ですが、レクサスではまったく機能しません。値引きの原資がそもそも無い車だからです。

むしろ待つ側に不利が働きます。2026年1月の一部改良で装備が増え、価格も動きました。次の改良でさらに上がる可能性があるなら、待つほど条件は悪くなります。

納期の問題もあります。決断を1か月遅らせれば納車もそのぶん後ろへずれ、今乗っている車の車検満了と噛み合わなくなると厄介です。もう一度車検を通すか代車で凌ぐかの二択に追い込まれ、そこで出ていく金額は用品値引きで削れる額をはるかに超えます。

この車に関しては、待つ意味を探すより、下取りをいくらで通すかに時間を使ったほうが確実です。

営業マンが動くポイント

担当者が動きやすいのは、まず月末です。販売台数の締めが迫っていれば、1件の商談の重みが普段とはまるで違ってくる。月の後半に話を詰める段取りにしておくだけで、引き出せる条件は動きます。

週末なのに店内が空いている日も見逃せません。商談テーブルが自分たちだけなら、担当者は時間も気持ちもこちらに集中させられますし、上と掛け合う余裕も生まれる。来店客であふれた日は、どれだけ粘っても「では次回に」で流されて終わりです。

そして聞き方。「いくら引けますか」と迫るのは、この車ではいちばん通りにくい形です。

「この条件なら今日決めます」

こう言い換えるだけで、担当者にとっては社内で通しやすい話に変わります。

ISでは、この条件を下取りと用品で組みましょう。「下取りをこの金額で見てもらえるなら今日決めます」という持ちかけ方なら、本体価格に手をつけずに総額を下げられます。値引き稟議が通らない店でも、査定の上乗せなら決裁の道筋が別にあります。

基本姿勢は、買う意思が固いことと、他社も本気で比べていることをセットで伝えること。「条件が合えば今日サインする」と「ただ3シリーズとCクラスの見積もりも取っている」を必ず同時に出します。片方だけだと、決め打ちと見抜かれて足元を見られるか、冷やかしと判断されるかのどちらかに転びます。

決めたい。でも条件次第——この温度感を最後まで崩さないことが、担当者にもう一歩踏み込ませる条件になります。

値引きを迫りすぎると嫌われる!?

近年の需要の多さと納期遅れにより、値段を引かなくても売れるという風潮が強まっている中、

  • もっと引いてくれ!
  • あと3万なんとかならんか!
  • ガソリンも満タンにしろ!!

と、あれこれ迫るのも、少し嫌がられそうで悩んでいませんか?

新車を購入してからが本当のお付き合い。無料点検やリコールなど、同じディーラーへ足を運ぶ機会は増えるのに、最初から値引きを迫りすぎて嫌われるのも困ったもの。

でも安く買いたい。

下取り予定のお車があるなら、お車の値引きを「あと1万円!」としつこく迫るより、下取り車を10万円高く売った方が、精神的にもラクなのではないでしょうか。

その下取り額が高いのか安いのかは、比べる相手がないと分かりません。商談に行く前に、いまの相場を見ておきましょう。

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下取りに出す予定のお車を選んでください。オートオークションでの落札実績から、いまの相場をお出しします。