西部警察を語る上で外せないものがあります。

それは大門軍団が所有する特殊車両の存在です。

常識では考えられない巨大で凶悪な犯罪組織や、軍隊顔負けの重武装したテロリストなど、大門軍団に立ちはだかる輩は後を絶ちません。そんな西部署の置かれた特殊な環境ですから、通常の警察官の装備品では到底立ち向かうことはできません。そこで強力な犯罪者に対応するために木暮課長がメーカー(日産自動車)に直接開発・導入依頼したのが、大門軍団特殊車両「スーパマシン」の存在です。

スカイライン

初代大門専用車マシンX

劇中ではPART-1第45話「大激走! スーパーマシン」で初登場する。

導入の経緯は、連続銀行強盗犯の使用している逃走車が違法改造が施されたマーキュリー・クーガーだった事だ。大門軍団の所有する車両では性能差のため追いつけず、挙句の経てに一般市民を巻き込む事故も起こしてしまった。この事件を契機に木暮課長はマシンXの導入を早めることとなった。

ベースモデル

KHGC211型

日産スカイライン2000GT TURBO・2ドアハードトップ(通称:ジャパン)

最高時速240km

定員1名

主な装備

  1. マイクロコンピューター
  2. 車載モニター
  3. 特殊無線
  4. サーチライト
  5. リモコン式スチルカメラ
  6. レーダースピード検知器
  7. 特殊発信ペイント弾発射銃
  8. 自動車電話
  9. 増設燃料タンク
  10. 増設メーターコンソール
  11. 遠隔操作式自爆装置

当時としては考えうる最先端の装備を施しており、正に夢のスーパーマシンだった。

マシンRS-1

初登場はPART-Ⅱ・第16話「大門軍団フォーメーション」

大門軍団特殊車両ではマシンXに続き、スーパーZと共に導入された。

ベース車は日産・スカイラインDR30JFT型2000RSターボ・前期型(通称:ニューマンスカイライン)定員1名。

使用用途は犯人車両の追跡・攻撃はもちろんのこと、以下に列挙された当時としては最先端の技術が盛り込まれた。

  • 全方向回転式サーチライト
  • 赤外線サーモグラフィーカメラ
  • マルチバンド特殊無線機
  • 信号操作装置(前方の信号を青に変える)
  • ECM装置(犯人の電子機器を妨害する)

また後部座席には専用のコンピューターとCRTディスプレーが設置してあり、情報分析するにあたり以下の機能が備わっていた。

  • スペクトルアナライザー(電波を逆探知する)
  • 声紋分析装置
  • 前後追跡レーダー装置
  • 追跡車両予想進路表示

また、収集した情報は本庁のデータベースと繋がっており、リアルタイムにデータ照合することができます。

武装は口径20mm2連装マシンガンを助手席側ルーフに格納、

急加速装置としてアフターバーナーを装備し、最高速度(265㎞/h)まで僅か16.3秒で達します。

一般でもPC所謂パソコンは殆ど普及しておらず、収集したデータをその場で処理し画面上に表示するなどという概念が浸透していなかった。もちろんインターネットなどない時代のため、ネットワークを通じて捜査情報を共有するという描写は、当時の視聴者にとってはまさにSFの世界だったのではないだろうか。

RS-2

ベースはRS-1と同じDR30型スカイラインRSターボ。定員2名

リアバンパーからルーフ前方までを繋ぐループ状のアンテナを2本持ち、各種緊急無線の通信傍受や通信方式は不明だが海外通信も可能な車両だった。

助手席に各種コンピューターの操作パネルがあり、もう一人の乗員が操作できるようになっており、他車両とのチームワークで真の力を発揮する。

外見の特徴としてはループアンテナのほかに、格納式赤色灯を車体側面に装備し、必要時格納部から反転させて赤色灯を突出させる機構を持つ。大口サンルーフを備えているのも特徴で、身を乗り出しての射撃も容易である。

またRS-2の専用装備として4連装特殊弾発射筒トランク内部に格納)や改良型シグナルコントロール(進行方向の信号機を任意の色に変更できる)を装備している。

RS-3

ベースとなったのは、DR30型スカイラインの2ドアハードトップ2000RS。定員2名

RS-3はPART-2の第16話「大門軍団フォーメーション」で登場したマシンRSのリモデル版という位置づけ。前出の2台と違う点はエンジンがNA(自然吸気)であること、外装を他の2台のRSと揃えられており、赤色灯やエアロパーツなどを装着、ホイールも16インチのものに変更されている。

主な機能は

  • 全方位サーチライト
  • 暗視カメラ
  • 赤外線サーモグラフィービデオカメラ
  • 電波信号分析装置
  • 自動車総合管制システム

など、それらを制御する高性能コンピューターを搭載しており、ハイテクをふんだんに取り入れた「情報分析車」として活躍した。

2代目団長専用車のスーパーZ/フェアレディZ

ベースは日産フェアレディZ(S130系)の2.8L・2by2のTバールーフ(定員4名)

なんとこのZはガルウィングに改造した特別仕様である。左右に大きく開くガルウィングは迫力があり、その大きな開口部から身を乗り出し、銃撃戦を繰り広げる団長の姿に胸を熱くした視聴者も多かったのではないだろうか。ちなみにガルウィングとは英語で「gull wing(カモメの翼)」という意味で、歴史をさかのぼるとBugattiの試作車、1939年式のType 64が初の採用車と言える。

ボンネットには2連装機銃が搭載され、必要に応じて催涙弾を発射することが可能。また、リアバンパー下には煙幕発生装置(通称スカンク)が装備されている。

当時の金額で1500万円の製作費がかかったといわれている。

基本的に大門団長専用「多目的特別車」として運用されているが、ドラマでは沖田・鳩村刑事など他の刑事が搭乗する回もあった。

サファリ

マシンXに続く2台目の特別機動車両のサファリ4WD(定員3名)

第111話「出動命令 特車サファリ」で初登場。ベースとなったのは日産サファリのバン(VRG160系)でシリーズの中で木暮課長ではなく大門が日産に特注した唯一の車両。放水銃を格納する関係からハイルーフ仕様になっている。

そして最大の武器はルーフ内の高圧放水銃2門で圧力は14kg/cm2で158kgにおよび最大射程は100mに達する。そのほかにフロントバンパーに同じく放水銃2門の計4門を搭載している。

特機隊の司令塔となる本車両はPART-1で源田刑事が担当しPART-2では北条が主に担当した。

装備は放水銃のほかに潜望鏡のように伸縮するレーダーアンテナとビデオカメラを搭載し、無線・電話の傍受・盗聴などもこなした。

バイク

西部警察でバイクといえば巽刑事のハーレー、鳩村刑事のカタナというくらいバイクファンにとっては涙物の活躍シーンが随所に見られた。自らもバイク愛好家である舘ひろしのスタイリッシュな乗りこなしも相まって上記2台のバイク売り上げに貢献したことは言うまでもない。

ハーレーダビッドソン

PART-1第1話「無防備都市(前編)」~第30話「絶命・炎のハーレー」まで巽刑事が乗っていたバイク。

ベースはHARLEY-DAVIDSON(FXS1200)ですが、ハンドル以外はほぼノーマル状態で使用しています。登場回によっては前輪のフェンダー部分にパトライトを装着しているシーンがあるが、パトライトのほとんどがマグネット式なので取れやすいため、撮影用にガムテープなどでさらに固定している可能性がある。

スズキGS650G

PART-1第109話から登場したGS650G。デザインはKATANAと同じ、ドイツTarget Design社。当時のバイクメーカーでは750㏄以上の大排気量バイクを自主規制しており1100㏄のGSX1100Sカタナは国内では正規販売されなかったため、このGS650Gがカタナ第1号として国内販売された。ドラマの中でもほぼノーマルで乗られており、特機隊のシルバータイプと白バイ隊のホワイトタイプが用意された。

スズキGSX750カタナ

 PART-IIから登場し鳩村専用のバイクとして活躍しています。

最も有名なバイクのモデルであるスズキ・カタナ(SUZUKI・GSX1100S KATANA)ですが前述の通り国内正規品ではなく逆輸入のカタナを使用しており、設定上はGSX750として登場していました。

鳩村演じる舘の要望で、黒をベースとしたカラーになっているのが特徴です。PART-III(第60話)で大破した。

カタナR

スズキ・カタナRとは(GSX1100S KATANA)をベースにしたロケ用特別仕様の架空モデル。

鳩村専用だったスズキ・カタナ(GSX1100S KATANA)がPART-Ⅲ第60話で大破したために鳩村が乗り換えたバイクだった。レーシングタイプのバイクを希望していた舘の要望が叶えられ、フルカウルのフォルムにレース用にチューンされたカタナを石原プロが買い取り改造を施した。

戦車じゃない、装甲車をたった2話で爆破

今でも西部警察の伝説として語り継がれている一つで、当時の金額で5千万の製作費をかけたと言われるアメリカ軍装甲車TU-89 355 LADYBIRDをたった2話で爆破するというものである。

劇中設定では日米合同演習中の南富士演習場で強奪された米軍の最新鋭装甲車となっているが、実在はしていない。本当はコマツ社製の建設機械であるホイールローダーがベースであるといわれており、各種鋼板で覆ったあとに手製の砲塔を繋ぎ合わせ、それらしく見せたハリボテである。

しかし、警察車両を2台同時に踏みつぶしたり、あらゆる方向からのダイナマイトの爆風にも耐え、その頑強さをアピールした。

武装は電子制御式150mm戦車砲と重機関銃を車体前面と砲塔に2門を搭載していた。

また、撮影を行った場所は現在では考えられない以下の

  • 銀座4丁目
  • 行幸通り
  • 国会議事堂前
  • テレビ朝日本社

などで、近辺を封鎖しての大規模ロケだった。

ストーリーでは廃工場におびき寄せられた LADYBIRDが大門軍団によって爆発炎上させられ、破壊される形で終了しているが、実際の車両はドラマ撮影後も無傷で保存されていた。(近年スクラップとして処理された)

圧巻のカーチェイス

西部警察の名物ともいえる犯人VS大門軍団のカーチェイスは数々の伝説を作った。

有名な話といえば全シリーズで大破した車両4.680台、飛ばしたヘリコプター600機、封鎖した道路4万ヶ所など、スケールが桁外れ過ぎて想像もつきません。福岡~熊本と4都市跨ぐ大規模なロケを敢行したPART-Ⅰ第64話「九州横断大捜査網」第65話「博多港決戦!!」では後世に語り継がれる名シーンを残した。この様子は後のシリーズのオープニングでも使用されており記憶に残っている方も多いのではないだろうか。

そして忘れてならないのが伝説のスタントといわれているPART-Ⅰ第104話「栄光への爆走」で行われた通称「運河越え」である。西部警察シリーズ屈指の名スタントと言われており、ストーリーの性質上看板を突き破って大ジャンプしなければならない制約があり、25mある目黒川を飛び越えるという当時としてはかなり無謀なスタントだった。スタントマンは三石千尋。三石の運転するフェアレディZが猛スピードでジャンプ台に侵入し、見事目黒川を飛び超えた。

しかし着地に失敗しZは大破、三石も全治3か月の重傷を負った。

ドラマでは失敗した着地シーンは別の映像とすり替えられ(正確には車体後部を護岸の縁にぶつけ走行ができないくらいに破損したのに次のシーンでは地面にきれいに着地していた)何事もなかったかのようにフェアレディZは逃走を続けた。

やられキャラのセドリックとグロリア

特にPART-1放送時はアクションが前面に出ており、中でもカーチェイスや銃撃戦は毎回のように行われ、建物や車両の大爆発など見どころ満載でした。

当時の西部警察を見ていた視聴者は、いとも簡単に大破していく車両に対し、さぞや「もったいない」と思っていたことでしょう。当時としてはミドルクラスのセドリック・グロリアは決して安価な車ではなく一般家庭でも普通に車が普及していたとはいえ高級品でした。しかし西部警察では全シリーズ中合計4600台もの車両が破壊されいます。実に1話平均20台という、もはや尋常ではない数字となっており、見ているほうも破壊されていく事に対して麻痺していったのではないでしょうか。

トミカやプラモデル、ラジコンも発売されている

西部警察の関連商品は様々なものが販売されていたが、中でもプラモデルやミニカーなどといった若年層向けの商品は人気が高く、商品化許諾に向けて玩具メーカー各社がしのぎを削った。

当時の石原プロダクションは「1ジャンルにつき1社のみ」という制約を設けていたため

ミニカーはダイヤペット、ラジコンはヨネザワ、プラモデルはアオシマ以外の製作は認められなかった。

ミニカーといえばトミカだが西部警察関連車両を手掛けるのは38年の時を経た後になる。

西部警察放映時に人気を誇ったダイヤペット製のミニカーは、母体であるヨネザワ玩具がセガトイズに買収されたのをきっかけに規模を縮小。その後セガトイズがダイヤペットのミニカー販売権をアガツマに譲渡し、辛うじてDiapetブランドが今日まで残っている。

プラモデルはアオシマ(青島文化教材社)が手掛けたが公式サイトでは2015年1月に発売の西部警察シリーズ1/24スケールを最後に更新がない。

またラジコンではヨネザワからRS軍団、スーパーZ、サファリなどのトイラジコンが製品化されたが1998年「セガトイズ」に買収され事実上ヨネザワブランドが消滅する。現在ではオークションサイトでしか、その姿を見ることはできない。

現在ミニカーの販売はタカラトミーの100%子会社であるトミーテックからドラマで使用されたマシンXを始めとするスーパーマシンはもちろんのこと、スズキGSX1100XカタナなどのバイクやPART-Ⅱ第18話に登場する広島電鉄750型もみじ号まで忠実に再現された「西部警察」シリーズが販売されています。